意思決定支援ツール・ガイド(医療者様用)

1.糖尿病の自己開示の意思決定のために以下のことについて患者様の気持ちを明確にしましょう。

  • いつ(いつくらいに)
  • どこで
  • 誰に
  • どのように
  • 糖尿病についてどこまでを(何を)
  • なぜ(何のために)
  • 開示しよう/しないと考えている

 

2.患者様が決めるために、その前に知識・情報の提供・確認をしましょう。

  • 患者様の病状や血糖コントロール状況や今後の病状の進行や合併症発症や悪化に関する予測について
  • 糖尿病の自己開示をする/しない場合の、一般的なメリットとデメリットについて(知識)
  • 患者様の糖尿病のコントロール状況
    人間関係の中で自己開示する/しないことで自己管理ができない状況や場面がないか、そのような場面で、患者様がどのような思いで、どのような行動をとっているか。
    例えば、相手に糖尿病であることを話していないために、食事療法が守れない、アルコールを節制できない、嘘をつくのが嫌で落ち込む、つきあいが嫌になって、食事会などに参加するのが億劫になっている・・・など。

 

3.患者様の思いや考えを明確にしましょう。

  1. 糖尿病を他の人に自己開示する(知らせる、話をするなど)か/しないかについて、患者様にとっての個人的なメリットとデメリットを問い、思いや考えを傾聴しましょう。☞ シート
  2. 患者様にとって、一番優先したいことは何か?(患者様の価値観)を聴きましょう。
    例えば、血糖コントロールをきちんして、この先の健康も維持したい、糖尿病も含めてありのままの自分を理解してほしい、糖尿病を隠してでも自分の今の生活や人間関係を続けたい・・・など
  3. 患者様の中にある糖尿病に対する思い(内的スティグマ)を確かめましょう。糖尿病を恥ずかしいもの?他人に隠しておきたいもの?と思っていませんか?糖尿病の自己開示をするのに患者様の中の壁は何でしょう?
  4. 患者様の過去の体験を聴いてみましょう。
    ・自己開示した/しなかったために生じた、いい思いや出来事や経験や糖尿病療養生活上のメリットなど
    ・自己開示した/しなかったために生じた、嫌な思いや出来事や経験(社会的スティグマ、偏見差別など)や糖尿病療養生活上のデメリットなど
  5. 糖尿病について自己開示するための患者様のサポート資源について確認しましょう。
    ・自己開示すると決定した後、それを実行するためのサポート
    ・自己開示した場合のサポート体制と得られるサポート
    ・自己開示しない場合、囲のサポートが得られないことへのリスク管理
    ・他の人のサポートは必要ないと考えている場合、本当にそうなのか患者様に再確認してみましょう。
    ・患者様が糖尿病について自己開示をしないという選択をした場合、低血糖時、緊急時や災害時についてどう対処するか考えられるように促しましょう。(「支援」のぺージをご参照ください)
  6. 患者様のストレスやストレスコーピング
    糖尿病を自己開示すること/しないことでの患者様のストレスや感情 負担 ストレスコーピング
  7. 他、そのことに関係することや患者様の疑問点
  8. その決定が本当に現在の患者様にとってベストであるかどうか、患者様が十分な知識と情報を持って、理解した上での選択かどうか、選択肢の比較検討を促しましょう。患者様がこの問いに迷っているようなら、もう一度、a、bに戻って考えるように促しましょう。
    行動に移せるかどうか(自信は?)?
    ・色々な情報を吟味したうえの決定か?患者様の考えや思いだけに囚われていないか?
    ・メリットやデメリットなど十分な知識と情報を持っての上での選択かどうか?

 

4.患者様の意思決定支援をするにあたっての問題を再確認しましょう。

  • 患者様の糖尿病に関する知識や情報が十分でない
  • 患者様の糖尿病療養生活における自己開示の重要性を認識しているかどうか
  • 患者様が糖尿病の自己開示に関するメリットとデメリットの起こりやすさについて十分ではない
  • 患者様が糖尿病の自己開示のメリットとデメリットについて、患者様自身が、自分にとってどれが重要なのかわからない
  • サポートが足りない
  • 他の要因がある

 


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大阪府立大学大学院看護学研究科
南村 二美代
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