老年看護学分野

老年看護学分野

世界に類を見ない超高齢社会に突入している日本において、老年看護学の役割はますます高まると予測されます。老年看護学分野では、高齢者がいきいきとその人らしく、健やかに生活できるよう支援する看護のあり方を探究し、高齢者と家族のQOL向上に寄与する研究及び理論の構築を目指しています。また、多様なフィールドにおいて、高い倫理観と豊かな高齢者観を基づいた専門性の高い老年看護実践ができる人材を育成していきます。

教員紹介

長畑 多代 教授

主な研究テーマ

  • 特別養護老人ホームでの看取りにおける看護・介護連携モデルの構築
  • 高齢者施設の看護職に向けた教育プログラムの開発
  • 認知症高齢者看護の専門的技術の明確化

主な研究業績

  • 生活の場である特別養護老人ホームの看取りにおける看護・介護連携指標の開発: 地域ケアリング
  • 生活の場である特別養護老人ホームでの看取りを支える看護実践の内容:老年看護学(日本老年看護学会誌)
  • 介護保険施設において熟練看護師が実践している認知症高齢者への看護ケアプロセスの特徴:神戸大学大学院保健学研究科紀要

九津見雅美 准教授

主な研究テーマ

  • 血友病医療における病院と在宅をつなぐ看護ケアの検証
  • レビー小体型認知症者とその周囲の人びとへの支援に関する研究
  • 地域在住高齢者におけるフレイルに関する研究

主な研究業績

  • 要介護状態にある薬害HIV感染患者を在宅介護する家族の療養場所移行における経験とおもい:兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要
  • Management of behavioral and psychological symptoms of dementia in long-term care facilities in Japan:Psychogeriatrics
  • 認知症高齢者にみられるBPSDケアのための新たな概念の構築:問題行動パラダイムを超えて:日本看護研究学会雑誌

山内 加絵 講師

主な研究テーマ

  • 特別養護老人ホームにおける看護・介護職の連携
  • 特別養護老人ホームにおける看取りに関する研究

主な研究業績

  • ユニット型特別養護老人ホームの看護職に向けた看取りにおける介護職との連携実践尺度の開発:日本看護福祉学会誌
  • ユニット型特別養護老人ホームの看取りにおける介護職との看護連携実践尺度原案の内容妥当性・表面妥当性の検討:大阪府立大学看護学雑誌
  • 介護保険施設における看護ケアの実施状況及び研修ニーズに関する実態調査:大阪府立大学看護学部紀要

長野 弥生 講師

主な研究テーマ

  • 認知症看護、看護教育学

大学院生への教育

大学院生 博士前期課程では老人看護専門看護師を養成するCNSコース、および研究者を養成する基礎となる修士論文コースを擁しています。CNSコースでは、複雑で多様な健康問題をもつ高齢者と家族の総合的なアセスメント能力、QOL向上に向けた卓越した看護実践能力を養うため、様々なフィールドで先駆的な実践を展開する看護職やCNSを講師に迎え、ディスカッションを通して、理論に基づく専門性の高い老年看護実践を学びます。修士論文コースでは、老年看護に活用できる諸理論を学び、生活・療養の場の特徴に応じた老年看護の専門性を探求することを通して、実践に即した研究を追究していきます。
博士後期課程では、医療機関、施設、在宅などの老年看護実践の場において実証的な調査・観察を通じて老年看護学の体系化をめざした理論構築、質の高い実践のための技術開発、研究手法などを修得し、老年看護学における理論構築に寄与する研究者、教育者の養成を目指します。

授業科目

博士前期課程

・修士論文コース

老年看護学特論、老年看護学援助特論、老年看護学演習ⅠA、老年看護学演習ⅡA、老年看護学特別研究

・CNSコース

老年看護学特論、老年看護学援助特論、老年看護学演習ⅠB、老年看護学演習ⅡB、老年看護学実習、老年看護学課題研究

博士後期課程

在宅・老年看護学特論、在宅・老年看護学演習、生活支援看護学特別研究

※授業科目の詳細は、大阪府立大学のシラバスをご覧下さい

院生の声

博士前期課程3名(CNSコース2名、修士論文コース1名)が在籍しています。

博士前期課程 CNSコース2年

私は、高齢者ケア施設で働く看護師の専門性に興味があり、当大学院の扉を叩きました。入学当初は、授業の準備からプレゼンテーション、授業の進行まで、すべて自分たちで行わなければならず戸惑いましたが、同期の仲間や院生の先輩方からのや支え、先生方の𠮟咤激励のおかげで、大変ながらも充実した学生生活を送っています。一つの課題を掘り下げていく過程は大変ですが、「これはどういうこと?」「じゃあこれは?」など、次々に疑問が沸き起こり、知的好奇心に溢れた毎日でもあります。

博士後期課程

私は博士後期課程で特別養護老人ホームの看護職に向けた研究を行っています。長畑先生には博士前期課程の時からご指導いただいています。博士後期課程での研究は、プロセスも長く孤独な戦いです。迷路に迷い込んでしまいそうなときも多いですが、そんな時には長畑先生の温かく厳しいご指導により軌道修正してきました。定期的に開催されるゼミには、現役生だけでなく修了生と老年看護学の先生方も出席され、それぞれの視点から出される意見を聞くことで、視野を広げる機会になっています。

活動紹介

高齢者施設ケア(LTC:Long Term Care)研究会

高齢者施設ケア研究会は、高齢者施設におけるケアの研究を推進し、その進歩・発展・普及に貢献することを目的とし、平成25年に発足した研究会です。事例検討や各施設の実践報告を通して自らの施設の実践を振り返り、また他施設の職員との情報交換等を中心とした定例会を開催しています。年4回(5月、8月、11月、2月の第4金曜日、19:00~20:30)、I-siteなんばにて開催しております。高齢者施設ケアの実践者や老年看護学研究者などが参加していますので、お気軽にご参加下さい。