博士後期課程の概要

大学院後期課程

療養支援看護学領域、生活支援看護学領域から構成されています。
後期課程では、自立して研究活動を行う人材の育成をめざす教育目的にそって、看護学の発展に寄与できる教育を行っています。

療養支援看護学領域
∇急性療養看護学分野

手術療法ならびに先端医療の現状をふまえた上で、急性期にある患者とその家族のもつ健康問題を全人的にとらえ、問題解決に関連する理論や概念、方法論について、広範な学問分野も含めた文献を基に探求します。倫理的な観点からも質の高い看護実践を目指した看護介入の研究を行い、急性看護学の発展を共に目指していきます。

∇慢性療養看護学分野

慢性疾患看護に関する様々な概念や理論を学び、国内外の研究論文を検討し、フィールドワークなどを通して研究テーマを深め、対象の現状やケア効果を評価するための尺度開発や看護のエビデンスにつながる介入研究など、各自の興味に合わせ探究していきます。
慢性看護の知の蓄積に向け、真摯に取り組み、貢献できる研究者の育成を目指しています。

∇がん療養看護学分野

看護理論の構築や看護研究方法を学び、自立的に研究を行っていきます。
がん看護に関する学際的な文献を読み進めながら、関心あるテーマについて深く検討していきます。
研究では、看護実践のエビデンスにつながる介入研究を行っています。
また、博士前期課程の学生とともに研究方法や研究発表について互いに検討する機会も設けています。

∇感染療養看護学分野

感染症の様相にまつわる現状をとらえ、看護ケアを行ううえでの感染看護学の専門的課題について多角的、綜合的に探究します。また、課題を達成するための看護方法や技術、システムの開発、感染看護の専門職者の育成などに関する研究方法についで考究し、感染看護学の体系化を目指します。

生活支援看護学領域
∇看護技術・情報学分野

看護技術の開発や、看護技術の効果を示す評価指標の開発に向けての研究などを行っていきます。開発していきたい看護技術について文献検討や予備研究を基に、研究計画を立案し研究を進めていきます。臨床実践の場で、看護ケアの質向上に貢献できる研究を目指しています。

看護管理・教育学分野

社会情勢の変化に伴い、医療、介護、保健サービスに関する社会の要請はますます高いものとなってきており、看護管理上の課題はより高度化、複雑化しています。
こうした課題に対し、探究し、解決策を見出し、提案していく力が求められています。
看護管理分野では実学を重んじ、サービス提供の場の向上に貢献できる研究者を育てることを目指します。

∇看護管理・教育学分野

本分野の博士後期課程では、看護専門職者の発達や育成に関わる要素を課題として取り上げ、基盤となる理論をもとにそれぞれの研究に取り組めるように支援しています。
これまでの修了者が取り組んできた主な内容は、看護大学教員能力、社会人基礎力などのコンピテンスに関する研究、新人看護師の教育支援、潜在看護師の復職プログラムなどの人材育成に関する研究、学生の看護技術学習方略などの教育方法論に関する研究です。

子健康看護学分野

妊娠・出産・育児期の母子とその家族への支援、さまざまな発達段階、健康状態にある人へのセクシュアリティ支援について、実証的データにより可視化し、看護実践の質の向上に向けたエビデンスを構築することを目指しています。
また、からだ・こころ・生き方の多様性のあり方とその理解に基づいた支援を展開するセクシャルヘルスへの総合的支援について、臨床や教育現場での実践的な研究を進めています。

∇母健康看護学分野

子どもとその家族を取り巻く社会の変化や彼らに及ぼす影響を踏まえ、子どもと家族の育ちを支えるため、高い倫理観をもって健康課題に対する小児看護の体系化を図る研究活動、看護ケアの開発を進めていきます。

∇家族健康看護学分野

健康な生活維持のための看護支援を必要とする家族に対して、個々あるいは集団の特性、文化的背景等を考慮した健康維持・増進および疾病の予防と併せて、QOLを高める実践技法と諸理論ならびに看護サービス展開とシステム構築の基盤となる看護管理等の技法や諸理論を開発・発展させます。

地域・精神看護学分野

地域で生活する人々へのヘルスケアシステムの多様性や近年のヘルスケアシステムの著しい変化を踏まえた健康レベル別の支援に関する研究を幅広く理解し、地域看護学実践の理論化をめざします。
また、地域における支援技術の熟練と新たな構築に向けて国内外の文献を探究し新たな実践方略の開発を目指します。

∇地域・精神看護学分野

精神看護学は、十分に理論的、系統的に体系化されていない状況にあります。
精神看護学の置かれている状況や内包している問題を、先行研究の検討から分析します。
そして精神看護学の理論化や体系化、あるいは臨床看護における問題の解決や質の向上に向けた実践のための技術開発を目指して、独立して研究ができる能力を育成します。

在宅・老年看護学分野

博士前期(修士)課程で習得した能力を基盤とし、在宅看護実践に関するプロジェクトへの参加や、フィールドワークなどを通して、学際的な研究活動に取り組み、在宅看護学研究者として自立して活動を行う能力を育成します。

∇在宅・老年看護学分野

博士後期課程では、医療機関、施設、在宅などの老年看護実践の場において実証的な調査・観察を通じて老年看護学の体系化をめざした理論構築、質の高い実践のための技術開発、独自の研究手法などを修得し、老年看護学における理論構築に貢献できる研究者、教育者の育成を目指します。